KM13
KANEGAE
(京都)
京都 美⼭ ⾥⼭と奥⼭の境界
京都市北部に位置する美山は、美しい山々に囲まれた静かな里で、かやぶき屋根の民家が並ぶ景観は日本の原風景といえる。近年はシカやイノシシの爆発的増加により、かつて里山と奥山で人と獣が住み分けてきた境界は曖昧となり、農林業の被害や森林荒廃、土砂流出、田畑を囲う電気柵の破壊など、環境の変化が深刻化している。
人は里山に、獣は奥山に。適正なバランスを取り戻すため、自治体は猟師に依頼し、増えすぎた野生鳥獣の駆除に踏み切っている。駆除された鹿肉はジビエとして流通するが、皮や骨は処理が難しく多くが廃棄されてきた。人々の生活を守るために奪われる命を、使い切ることはできないだろうか。
今回のプロジェクトではアーティストたちが角や骨を素材に彫刻や陶器を、皮からは膠を生み出し絵画制作に用いた。しかしアート素材だけでは持続的な解決にはならない。様々な産業がこの問題に向き合う必要がある。今回のACKではアーティストたちとファッションブランドのT.Tが京都の美⼭の現状と向き合い、駆除された⿅の命を使い切り、⼭を巡る現状を社会に問う。T.Tは美⼭に新たな商流が⽣まれる様、廃棄皮を活用したレザージャケットやシューズを制作。ここに現代アートと服飾産業を結び合わせ、社会問題を解決していく⼀例を提⽰する。
Gallery Information
100年後、今制作している作品が古美術品となった時。
その作品はこの時代を伝えられるでしょうか?
現在、工芸家たちは社会と離れた陸の孤島にいる様に思えます。
変化し進み続ける社会と伝統に縛られ続ける工芸。
その歪みを正す時です。
そのために、ここではあらゆる常識を疑い
これまでの工芸の枠をはるかに超えた試みを行います。
新しいテクノロジーから生まれる素材や道具の活用、
酷使を続ける工芸家たちの肉体のサポート、
前世紀には無かった概念や作品流通の形、
そして、自然との密接な関係の中でものづくりをする工芸家にとって
最も重要な地球環境との向き合い方に至るまで。
高度に発展する社会的見地と
誰にも真似のできない職人の優れた手仕事が交わることで、
時代に合わせ進化し、発展してきたスポーツのように、
工芸を一つ押し上げることができるのではないでしょうか。
100年後の工芸の姿を、ここにつくりはじめます。
