KM06
MANGROVEGALLERY
(深圳)
MANGROVEGALLERYは、Art Collaboration Kyoto 2026のKyoto Meetingsにて、侯逸杰(Hou Yijie)の個展プロジェクト「私たちの熱情と寂寥」を発表いたします。
本プロジェクトは、侯逸傑による京都の美学への考察を基盤とするものである。京都には、寺院や神社と一般の住宅が、しばしば一枚の壁を隔てて隣接していることがある。補修の跡が残る壁面と、構造の厳密さによって成り立つ伝統建築の美が、わずか十センチほどの幅のなかで隣り合っている。このような極めて微細な境界にこそ、独自の生命力が立ち現れると考える。京都は、視覚、聴覚、触覚を導く総合的な美的コードとして捉える。庭園は歩行の速度を緩やかにし、寺院は視線の経路を規定し、枯山水は抽象化と凝縮によって禅的精神性を提示する。それらは、均衡のとれた感覚の秩序を形づくっているが、一見、乱れや不調和を拒むこの体系の魅力は、むしろ秩序の隙間に潜んでいる。
侯逸傑の制作は一貫して、歴史、伝説、現実を解体し、それらを混沌とした力場へと変換することで、秩序の内部に潜む制御不能な部分を探求するものである。覆い、破壊し、相互に干渉させることを通じて、イメージの物語性および絵画に生じる「ズレ」を顕在化させる。粗雑さ、性急さ、均衡の崩れは、彼の絵画を構築するうえで重要な要素となっている。侯逸傑の持つ気質は、京都の美学とは大きく異なる。しかし、両者は表裏一体の関係で対置され、精緻さと粗雑さ、秩序と混沌。その緊張関係こそが、侯逸傑による芸術的介入の出発点になる。
本プロジェクトにおいて、侯逸傑は一隻の屏風を発表する。屏風は東洋美学を象徴する物であると同時に、空間をわけ、人の歩みを導く機能をもつ。侯逸傑は伝統的な鑑賞形式に揺らぎを生じさせ、どのようにイメージの差異が既存の美的秩序を崩し、またどのような感覚が静謐な秩序と共存し得るのかを探求する。京都の美意識との「綱引き」を試みながら、一つの視覚体験のなかに異質なものを共存させ、誤差や粗さ、不完全さから生まれる生命力を掘り起こし、イメージの干渉のなかに潜む秩序を捉えようとする。
Gallery Information
MANGROVEGALLERYは2020年に中国・深圳で設立された、コンセプトやメディアの境界を押し広げるようなアートを紹介する現代アートギャラリーです。国内外のアーティスト、キュレーター、インスティテューションとの協働を目指しており、ローカルな文脈で展開される実験的なプロジェクトの支援や地域、国、業界を越えた交流の促進を通じて、現代アートエコシステムの可能性を探求しています。
現在、Nevin Aladağ、Li Binyuan、Enzo Cucchi、Tan Jing、Daniel Knorr、Liang Quan、Lin Ke、Shawn Pakhin Tang、Sun Xun、Hou Yijie、Yu Hangといったアーティストが所属しています。